お琴今昔物語

門下生の独り言

もっとも難解な筝曲

作曲家である佐藤義久先生は、時々私達門下生に書き下ろしの楽譜を課題曲にする事がある。まだ世の中に出ていない未発表の、或いは今後発表の予定がある曲だ。

世の中には「難曲」と呼ばれている曲が沢山存在する。宮城道雄先生の「瀬音」や「水の変態」を始めとして、沢井忠夫先生の曲全般(私には全てが難曲)、古典の唄物など(他にも沢山あるらしいが私の知識は少ない、あしからず)。ところが私にとって最も難解なのは、世の中に出ていない佐藤義久先生の「書き下ろしの曲」だと感じる。

「先生、サンプルが必要です。お手本を聞かせて下さい。」

「それは自分で考えないと。楽譜を手にして、お手本弾いて下さいなんて言うプロの演奏家はいないよ。」

私はプロではないし、それを目指している訳でも無い。寧ろ初心者にやっと毛が生えた程度だ。先生の無茶振りに困惑する。

自分で楽譜を読んで、自分で解釈して、弾いて下さいですか?食べたことの無い食べ物の、知らない言語で書かれたレシピを渡されて「はい、作って下さいね~」と言われた気分だ。和楽器以外に洋楽器の引き出しもある先生の曲には♩=112とか♩=96とか更に分数まで書いてある。何だろう?

弾く事が難解と言う以前に、解読するのが難解だったりするが、世に出ていない「書き下ろしの曲」を教わる事が出来るのは門下生のいわば特権。「自分で考える」と言う事を教えて下さっているのだが、これは先生からの挑戦状でもある。

 

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https://19carrollstreet.jimdofree.com