お琴今昔物語

門下生の独り言

少し背伸びをしてみる

コロナが世界を席巻し始めた頃、1ヶ月間お稽古を休校した。その間、家にあった「乱輪舌」をずっと練習していた。課題曲では無く、且つ私の実力の範疇では無かったのだが、何故か家に楽譜があったので練習していた。

久しぶりにお稽古に行った日、私は得意気に言った。

「先生!今から乱輪舌を弾くので聴いて下さい。」

先生は構えた。何が始まるのだろうか、と。

私の弾く乱輪舌を一生懸命聴いている。あの時の先生のなんとも困惑した顔を私はいまだに忘れない。「聴くに耐えない」と言った面持ちで難しい顔をしていらっしゃる。私は笑いをこらえつつ、真剣に弾いた。

「少し背伸びをしましょう。出来なさそうな事にも挑戦してみないと、いつまで経っても成長しませんよ。」

かつて私に先生が仰った言葉だ。口は災いのもと、と先生が後悔したかどうかは解らないが、あの日から私のお稽古のパターンは徐々に変化し始めて行った。

 

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