お琴今昔物語

門下生の独り言

爪琴の 「春の夜 ( はるのよ)」を待つ 夜半の月

「荒城の月」と言えば滝廉太郎と小学校で教わったのは、私だけであろうか?

 

土井晩翠氏の名前を知ったのは昨日の事だった。

課題曲の中にあった宮城道雄先生作曲の「春の夜」の歌詞の解釈が、英文より難解 ? なのでスマホで調べたところ、「荒城の月」の作詞家である土井晩翠氏の作と知った。

ほんのつい最近まで ( 明治時代 )。

こんなにも奥ゆかしく風流な歌詞が、この国で創られていたことに毎度驚かされる。令和の今でもこのような曲が創られているのかも知れないが、私は知らない…。

春でも無いのに、何故今頃?と問われれば。

暦月での「春」とは、お正月から三月の事。十月の今は「冬」なので「春」に向けて芽吹く ( 演奏する ) 準備をする為に、今頃から練習し始めると言う理 ( ことわり )…。

 

主は誰(た)そや 白梅(しらうめ)の

香りに咽(むせ)ぶ 春の夜は

朧(おぼろ)の月を 頼りにて

忍び聞きけん 爪琴(つまごと)が

そのわくらはの 手遊び(てすさび)に

そぞろに酔へる 人心

幽(かす)かにもれし 灯火に

花の姿は 照りしとか

たをりは果(はて)じ 花の枝

馴れし宿りの 鳥鳴(な)かん

朧の月の 憾(うら)みより

その夜くだちぬ 春の雨

ことは空しく 音絶えて

今はた偲ぶ 彼一人

ああ その夜半の 梅が香を

ああ その夜半の 月影を

 悲恋の詩。ある男が、春の夜に白梅の香りと共に聞こえる箏の音色に引かれ美しい女性を垣間見る。男は、その女性に心引かれながらも声をかけることなく立ち去ってしまう。その夜、春の雨が降り、それと共にその女性の弾く箏の音色も消えてしまった。男は、後悔しながら、あの夜の梅の香りや月明かりを思い慕う、というもの。

( 尺八修理工房幻海さんより引用しています。幻海さん、ありがとうございます。)

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