お琴今昔物語

門下生の独り言

完成はしていない。何度でも弾きたい。

他社中のお琴奏者に、歴30年の女性がいらっしゃる。多分三十代。赤ちゃんの頃から弾いている?或いはお琴を持って産まれてきたのだろう…。

「今度、是非一緒に合奏しましょう!」と誘って下さるのは有り難いのだが、何を合わせようと言うのだろう?

「さらし風手事」「夕顔」「瀬音」など私の知っている範囲で検討する。

どれも私にとっては最近習った物ばかりだが、彼女にとっては既に「遠い過去」であり「難解では無い物」のはずだ。

( 歴30年の彼女にとっては) 物足りないのでは…。

躊躇しつつ、ありのままを伝える私に、目を輝かせて柔らかく彼女は答える。

 

「どの曲も、未だ完成してはいない。何度でも弾きたい。」

 

秋を感じさせる風が、私を通りすぎて行った。

見上げた空には、雲ひとつ無い…。