お琴今昔物語

門下生の独り言

古典と現代箏曲

コロナ以前には、出先や旅行先で和楽器店を探しては立ち寄っていた。とあるお店で紹介された年配の男性。店主は言った。

「この方、凄い方なんですよ。宮城道雄先生の直弟子の一人なんですよ。」

店主の言葉を穏やかに受け止める優しい眼差しのその男性に、私は言った。

「宮城道雄先生って、知らないんです、私。」

店内が凍りついた。「ミヤギミチオセンセイを知らない?」ならば「春の海」を知らないかと聞かれ、名前だけは聞いたことがあるけど曲は知らないと正直に告げた。お琴初心者以前の問題だが、年配の男性は始終笑みを浮かべていた。店主の空いた口はふさがりようが無かった。

今でこそ、知ったような事をブログに書いて発信しているが、何も知らずに邦楽の世界へ足を踏み入れた私だったから仕方が無い。(否、一般常識だとの声は聞か猿)。常磐(トキワ)をジョウバン、壱越(イチコツ)をイチコシ、上角(ウワヅノ)をジョウカク。数えたらキリが無いほど恥を晒している(その都度、先生が直して下さる)。

本題だが「宮城道雄先生以前を古典、以降を現代箏曲と呼ぶ」ほど、お琴の世界に影響を与えた人物だ。お正月になると日本中で流れている箏曲こそが宮城道雄作曲「春の海」で、「お正月のテーマソング」では無い。

頭でっかちになる必要は無いが、少しの知識はあった方が良いのかも、と反省する昨今。こうしたチャンスを逃すことが多々ある。

数年後宮城曲の虜となった今の私なら、あの年配の男性と楽しく会話を弾ませることが出来るはず。

 

佐藤義久先生のお琴教室のホームページはこちら⏬⏬⏬

19carrollstreet.jimdofree.com