お琴今昔物語

門下生の独り言

愛すべき藝術作品

徳川家光の「兎図」(私はこれをずっと「兜図」だと思っていた。お殿様が鎧を着て兎の兜を被ってるのかと…)、そして豊臣秀吉の「黄金の茶室」。私が大好きな芸術家達の愛すべき芸術作品。と言ったら「彼らは芸術家では無い」と言われ「それらは芸術作品では無い」とまで言われてしまう始末。

私が「芸術作品」だと感じたのだから、それらは芸術作品であり、それらを作った人物は私にとっては「芸術家」なのだ。それ以上でもそれ以下でも無いと、エゴ丸出しな会話をした事がある。

村上隆と言うアーティストがいる。世界的アーティストだそうで、沢山の名作(迷作?)を世に送っているらしいが、私が一番好きな作品は「美術手帖2010年11月号」の表紙だったりする。村上隆氏の作品と呼べるかどうかはわからないが「アーティスト自身が作品」論支持の私としてはこれは立派な彼の作品。

伸び放題の髪に、何年も着たきりの恐らく洗っていないであろう衣服を纏う村上隆氏が、唯一の家族(と思われる)であろう小さな犬を抱き抱えて、呆然と河原に立ちすくむ姿は感慨深い。そこに「死ぬまで芸術やりますか?」のタイトルがひっそりと小さく描かれている、衝撃的な一枚だ。

私の脳裏に「伸び放題の白髪に、ボロボロになった着物を十二単のように着込んだ年老いた私が、多摩川を背に野良猫相手にお琴を弾いている画」が浮かんだ。「死ぬまでお琴やりますか?」のタイトルと共に。

私をインスパイアするものは、全てが芸術作品なのだった。それにしても、怖い。お互いこれが未来の予言となりませぬ様に。

 

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