お琴今昔物語

門下生の独り言

暗譜への近道

買い物に行く時に、買うものを覚えられないからリストを紙に書く。が、紙を家に忘れる。次に手の甲に書くが、うっかり手を洗ってしまい、書いてあったリストまで水に流れ去る。二十歳の頃の私…。

お琴の楽曲は、5分位から10分位までのものが殆どだが、記憶力の悪い私でも、課題曲は習っている期間は暗譜している。次の課題曲になると、前の課題曲は忘れてしまうが。

私の場合、練習回数と暗譜率は確実に比例する。兎に角、回数を重ねる事だけが暗譜を可能にしてくれる。練習回数が少ない楽曲は、どんなに簡単でも暗譜出来ない。たとえ「さくら」でも。

暗譜に近道は無い事を知った。

そして不思議なことに、速い難曲ほど暗譜しやすい。何故なら、楽譜をめくるタイミングが無いから、覚えるしか手立てが無いのだ。

切羽詰まると、人間にはこんな能力が発揮されるのかと、改めて人体 (脳?) の不思議を感じた。宮城道雄先生作曲「さらし風手事」を習った時のことだった。

この曲を弾くだけの技量はわたしには無かったが、「勉強になるから」と言う理由でお稽古する事となった。

奏法の勉強と言うよりも「勉強の仕方の勉強」を学んだ (普通は、学生時代に学ぶべき事なのだろう…)。

何事も崖っぷちに立たされないと本領は発揮されない。

全ての人は、まだまだ開発されていない沢山の能力に埋もれたままなのかも知れない、ふとそう言う気がした…。

 

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