( 中古のお琴について。其の壱からの続きです )
弦が劣化していて、緩くなっている。凛とした張りのある音が出ないのだ。「良い音色」に感じない。
ふと。想い出した。初めて「お琴」を弾いた時の事を。
60年以上前のお琴の弦は、いつ張り替えたのか知る由も無い。古すぎる弦は、それでも柔らかく優しい音色を響かせた。包み込まれるような音色だった。どこか懐かしい、何かを思い起こさせるような…。
月日が経ち、弦を張り替え手直しして、練習量や人様の演奏を聴く機会が増え、自然と音に拘るようになっていく。
でも、骨董品屋の方々が教えて下さった。マニアックな意味での音色への拘りなんて全く関係無く、「お琴」の音色は美しいと言う事を。枯れていようと、弦が劣化していようと、日本的な「美しい音色」を奏でる。
日本中に、眠っている古いお琴はまだまだ現役なはずで、特に初心者や、小学生、年配の女性など指の力が強くない方々には弾きやすいはず。あまり難しく考えなくとも、音が出る。
「弾きやすい」と言う事こそが、良い音色の定義なのだとすれば…。
自分の耳が肥えたなんて思うな、私。お琴や弦の善し悪しを知ったような事を言うな、私。
初めて弾いたあの時の音色は、あの時身体で感じた「何か」は、二度と再現出来まい。
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