お琴今昔物語

門下生の独り言

「六段の調」への畏怖

「六段の調」と言う筝曲がある。音楽の授業で聴いたことがあるかも知れない。或いは、お正月に何処かで聞いたことがあるかも知れない。

お琴を始めて最初の頃に教わる「基礎」のような曲、ピアノで言う「エリーゼのために」のような立ち位置などと、ネットを検索すると出てくる。私は最初「さくら」だったので、「六段の調」を教わったのはかなり後だった気がする。

この曲は「六段に始まり六段に終わる」と言われている程、実は難しい曲だそう。初心者でも弾けるが、解釈は玄人にも難しいと言っているのだろう。

ネットに書かれているように、基本的な奏法がかなり網羅されている事は、私のような初心者にも解る。それ以上の事はネットでは検索出来ない。多分、チャットGTPに聞いても答えらしい解答は得られないのでは無いだろうか?試していないからわからないが。自分自身で曲と対峙し、正解の無い解答を探していく道程は、どんなにAIが進化を遂げる時代になったとしても、介入出来ない有機的な行為に感じる。

幅の広さと奥行きの深さ。それらは歴史の有るものに共通して存在している。初心者から玄人迄、弾くことが出来る幅。段階を踏むごとに変化、発見のある奥行き。

暫く弾いていないが「六段の調」を教わってから数年が経つ。今の私にとって、この曲に何の解釈の変化も新しい発見も無いのなら「私は全く進歩していない」と言う、一種のバロメーターでありリトマス試験紙的な筝曲でもある。

弾くのが難しいのではなく、怖いのである。

 

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