お琴に限らず、どの演奏にも言えるのだと思うが「最初の1フレーズで全てが決まる」。全てが露 (あらわ) になる。
最初(出だし)が下手で、だんだん上手くなる演奏などと言うものは、ほぼほぼ存在しない。最初が下手なら最後まで下手だ、と先生は幾度となく仰る。
「最初の1音に全身全霊を集中させて、人生の全てを捧げるつもりで弾いてごらん。」
両手にDRAGON BALLのカメハメ波をイメージしながら(?)、弾いてみる。先生の仰ってる事とは多少の温度差を感じたが、私の脳内はこんな感じ?
イメージが足りないのか指が抜ける。何度か繰り返して、やっと何となく弾ける。
「何度かやれば、誰でも出来るんだよ。一回目で出来るようにならないと。」
先生はさらに仰る。
「演奏会では、一回しか弾けないんだよ。やり直しが出来ない。やり直す演奏家なんて見たこと無いよ。」
確かに「あ、ごめんなさ~い。もう一回やり直しますね。」なんて演奏家はあまり存在しない。
私は演奏家では無いし、今後独奏する機会があるとも思えないが、先生の言葉をとりあえず心に留めておく。どうしたら、出来るようになるかを訊ねてみた。
「何度も繰り返し練習する事。」
シンプルでわかりやすい答えが返って来た。
おうちに帰って練習する。カメハメ波をイメージしている自分が可笑しくて、どうしても指が笑ってしまう…。